不動産を売却すると、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や税金など、さまざまな費用が発生します。この記事では、不動産売却時にかかる費用の種類と金額の目安を詳しく解説します。
不動産売却にかかる費用の全体像
売却時に発生する主な費用は以下のとおりです。一般的に、売却価格の4〜7%程度が諸費用の目安とされています。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 支払い時期 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税 | 売買契約時・引き渡し時 |
| 印紙税 | 1,000円〜6万円 | 売買契約時 |
| 登記費用 | 1〜3万円程度 | 引き渡し時 |
| 住宅ローン一括返済手数料 | 0〜3万円程度 | 引き渡し時 |
| 譲渡所得税・住民税 | 利益に対して約20〜39% | 確定申告後 |
仲介手数料の計算方法
仲介手数料は、不動産会社に支払う成功報酬です。宅地建物取引業法により上限額が定められており、以下の速算式で計算できます。
売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税(10%)
※売却価格が400万円を超える場合の計算式です。
売却価格別の仲介手数料一覧
| 売却価格 | 仲介手数料(税込) |
|---|---|
| 1,000万円 | 39万6,000円 |
| 2,000万円 | 72万6,000円 |
| 3,000万円 | 105万6,000円 |
| 4,000万円 | 138万6,000円 |
| 5,000万円 | 171万6,000円 |
仲介手数料はあくまで「上限額」です。不動産会社によっては割引を行っているケースもありますが、大手では上限額を請求するのが一般的です。
支払いのタイミングは、売買契約時に半額、引き渡し時に残り半額を支払うパターンが多いです。
印紙税
売買契約書に貼付する収入印紙の費用です。契約金額に応じて税額が決まります。
| 契約金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 100万円超〜500万円以下 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 6万円 |
上記は軽減税率適用後の金額です。不動産売買契約書には軽減措置が適用されるため、本則税率よりも安くなっています。
登記費用
不動産売却時に売主が負担する登記は、主に以下の2つです。
抵当権抹消登記
住宅ローンが残っている場合、金融機関が設定した抵当権を抹消する必要があります。登録免許税は不動産1個あたり1,000円で、司法書士への報酬を含めると1〜2万円程度が目安です。
住所変更登記
登記簿上の住所と現住所が異なる場合(引っ越し済みの場合など)に必要です。費用は不動産1個あたり1,000円で、司法書士報酬を含めて1万円程度です。
買主への所有権移転登記の費用は買主が負担するのが一般的です。売主が負担するのは、抵当権抹消と住所変更の登記費用のみです。
住宅ローン一括返済手数料
住宅ローンの残債がある場合、売却時に一括返済する必要があります。その際に金融機関に支払う事務手数料がかかります。
| 手続き方法 | 手数料の目安 |
|---|---|
| インターネット手続き | 無料〜5,500円 |
| 電話・窓口手続き | 5,500円〜3万3,000円 |
金融機関や返済方法によって異なるため、事前に取引先の銀行へ確認しておきましょう。また、一括返済には通常2〜3週間の事前連絡が必要です。
譲渡所得税・住民税
不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税と住民税が課せられます。税率は不動産の所有期間によって大きく異なります。
| 区分 | 所有期間 | 税率(所得税+住民税+復興特別所得税) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定します。たとえば2020年4月に購入した不動産を2025年12月に売却した場合、実際の保有期間は5年8ヶ月ですが、2025年1月1日時点では4年9ヶ月のため「短期譲渡」に該当します。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得は以下の計算式で求めます。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費:購入価格(建物は減価償却後)+ 購入時の諸費用
譲渡費用:仲介手数料・印紙税・解体費用など
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費として計算する「概算取得費」を使うことができます。ただし実際の取得費のほうが高い場合は不利になるため、購入時の書類はできるだけ保管しておきましょう。
3,000万円特別控除
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。これは非常に多くの人が利用できる制度で、利益が3,000万円以内なら税金がゼロになります。
適用の主な条件
- 自分が住んでいた家屋を売却すること
- 住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること
- 売主と買主が親子や夫婦などの特別な関係でないこと
- 前年・前々年にこの特例を受けていないこと
- 他の特例(買い換え特例など)と併用しないこと
この特例は確定申告をしないと適用されません。利益が3,000万円以下で税額がゼロになる場合でも、確定申告は必ず行いましょう。
費用シミュレーション:3,000万円の家を売った場合
実際に3,000万円で自宅を売却した場合の費用をシミュレーションしてみましょう。
前提条件
- 売却価格:3,000万円
- 購入価格:2,500万円(15年前に購入)
- 住宅ローン残高:1,200万円
- 建物の減価償却費:500万円
- マイホームとして居住中
かかる費用の内訳
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 仲介手数料(税込) | 105万6,000円 |
| 印紙税 | 1万円 |
| 抵当権抹消登記 | 約1万5,000円 |
| 住宅ローン一括返済手数料 | 約2万2,000円 |
| 費用合計 | 約110万3,000円 |
手残り額の計算
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却価格 | 3,000万円 |
| 諸費用 | −110万3,000円 |
| 住宅ローン返済 | −1,200万円 |
| 手残り額 | 約1,689万7,000円 |
譲渡所得税について
この例では、譲渡所得は以下のとおりです。
譲渡所得 = 3,000万円 −(2,500万円 − 500万円 + 105万6,000円 + 1万円)= 約893万4,000円
ただし、マイホームの3,000万円特別控除を適用すると、893万4,000円 − 3,000万円 = マイナスとなるため、譲渡所得税はゼロです。
3,000万円特別控除が使えるマイホームの売却では、多くの場合、譲渡所得税はかかりません。ただし確定申告は必要ですので、忘れずに手続きしましょう。
費用を抑えるためにできること
仲介手数料の交渉
仲介手数料は上限額であり、値引き交渉が可能な場合もあります。ただし、手数料を下げると不動産会社の販売活動が消極的になるリスクもあるため、バランスを考えて判断しましょう。
複数社に査定を依頼する
複数の不動産会社に査定を依頼することで、より高い売却価格が期待でき、結果として手残り額を増やせる可能性があります。査定額に数百万円の差が出ることも珍しくありません。
税制特例を確実に活用する
3,000万円特別控除のほかにも、10年超所有の軽減税率の特例や買い換え特例など、条件に合えば税負担を大きく減らせる制度があります。税理士に相談することも有効です。
まとめ
不動産売却にかかる費用は、売却価格の4〜7%が目安です。最も大きな費用は仲介手数料で、次いで譲渡所得税が高額になる可能性があります。
費用を正確に把握し、手残り額をしっかりシミュレーションすることが、後悔のない売却につながります。まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安をつかむところから始めましょう。